商標

ロータリー・インターナショナルの商標に関する異議申立

ロータリー・インターナショナルの商標に関する異議申立

 

第1 本件商標
本件登録第5907047号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成28年5月19日に登録出願、第45類「結婚に関するカウンセリング及び指導,結婚又は交際を希望する者への異性の紹介及びこれらに関する情報の提供,宴会又は婚礼(結婚披露を含む。)の企画・運営・開催及びそれらに関する情報の提供,宴会又は婚礼(結婚披露を含む。)のための施設の提供及びその契約の媒介又は取次ぎ」を指定役務として、同年11月18日に登録査定され、同年12月16日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する商標は次のとおり(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、いずれの商標権も現に有効に存続しているものである。
1 登録第4304194号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成11年8月13日
2 登録第4311002号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の態様 別掲2のとおり
指定役務 第41類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成4年9月30日
設定登録日 平成11年9月3日
3 登録第4660840号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の態様 ROTARY(標準文字)
指定役務 第35類、第36類、第41類及び第42類に属する商標
登録原簿に記載の役務
出願日 平成11年9月2日
設定登録日 平成15年4月11日
4 登録第4702265号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の態様 ROTARY(標準文字)
指定役務 第36類に属する商標登録原簿に記載の役務
出願日 平成14年11月18日
設定登録日 平成15年8月22日

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同項第15号及び同項第19号に違反して登録されたものであるから、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
1 証拠について
(1)甲第2号証について
ア 甲第2号証は申立人の宣誓供述書であり、その概要は以下のとおりである。
本件宣誓供述書に宣誓して署名したジョマリー B.フレデリックスは、アメリカ合衆国イリノイ州エバンストンに存するロータリー・インターナショナル本部の次席法務顧問及び主席知的財産法律顧問である。
申立人であるロータリー・インターナショナル(国際ロータリー)は、世界に34,000以上の加盟クラブ(ロータリークラブ)を有する世界的な組織である。ロータリークラブは、人道的支援の提供、あらゆる使命における高い倫理規範の推進、世界の親善と平和の構築のために、世界を結ぶ約120万人の事業及び専門職務のリーダーで構成されている。国際ロータリーは200以上の国と領土及び34以上の地理的地域にロータリークラブを有する。
世界で最初のロータリークラブは、1905年2月23日に米国のシカゴで設立され、日本では、1920年10月に東京で組織され、1921年4月1日に設立が許可された。現在、日本には2,264のロータリークラブに約89,500人の日本人会員が存在する。
申立人は、世界に日本を含む77以上の国及び領土に約900件以上の「ROTARY」商標の登録を有しており、その他に出願もある。その中で特に「ROTARY」に関連の強い商標として、文字商標の「ROTARY」、「ROTARY CLUB」、「ROTARY INTERNATIONAL」、「ROTARIAN」及び図形商標がある。
申立人は、日本で「ROTARY」に関連する複数の登録商標を所有している。
これら「ROTARY」に係る商標は、申立人が提供する親善、平和、人道的サービスと国際的に関連付けられている。「ROTARY」の言葉は、それ自体で組織全体を表し、組織の理想や主義とともに使用される。さらに、「ROTARY」は、日本及び世界で「ロータリー・インターナショナル」により周知となっている名前である。
申立人はロータリークラブの資金として多数のプログラムを提供している。プログラムの一つとして、青少年の交換留学プログラムを運営しており、そのガイドラインを作成している。
申立人は地理的地域に分けてロータリークラブを運営しており、地域ごとに約40のクラブがあり、各クラブには約1,200人のロータリアン(ロータリー会員)がいる。世界には540の地区があり、日本には34の地区がある。
地区の代表である地区ガバナーはロータリー・インターナショナルの理事会の代表でもあり、規則及びガイドラインに従い申立人が組織する国際協議会でリーダーシップのトレーニングを受ける。
「ROTARY」の商標は、日本のロータリークラブ及びロータリアンによる幅広い活動の結果、日本においても著名かつ周知となっている。
ロータリークラブは、ロータリー財団への貢献を通して世界中で人道支援、教育の向上、国際理解と平和の推進活動を行っている。
さらに、ロータリアンは、ロータリーの活動に参加する際には、ロータリーのマークを掲げることが推奨される。申立人は、適切な商標の使用の指針と認知度の向上のためにガイドラインを発行している。
1947年以来、ロータリー財団はさらなる国際理解のプログラムに5億米ドル以上を費やしてきた。日本のロータリアンは継続的にロータリー財団に多大な貢献をしており、2012?2017年にはUS$77,632,390以上、2016?2017単年ではUS$16,338,104以上を拠出している。ロータリー財団の最も古く認知度の高いプログラムは国際親善奨学金である。ロータリー財団は日本の学生を含む100以上の国を出身とする男女に30,000以上の奨学金を提供してきた。
また、ロータリー財団は国際理解と平和を目指す活動に資金を提供しており、例えば1985年にポリオ撲滅運動を開始し、当初の募金目標額は1億2,000万米ドルであった。2007年からは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団やWHOと協力して5億米ドル以上を集めている。さらに、国際平和と理解の推進のためのプログラムの一つとして、違う国の地区をまたぐ研究グループ交換などがある。
ロータリアン、ロータリークラブ、ロータリー・インターナショナル、ロータリー財団は、様々な活動を通しアジア全体、特に日本に大きな影響を与えている。
申立人は、日本を含む35以上の国に商標のライセンスを供与して、ロイヤルティを得ている。
申立人は、日本において、様々な商品、役務、例えば社会貢献、人材交流及びそれらの相談や情報提供等に「ROTARY」の商標を使用している。
上記のとおり、申立人は1921年以来継続して、日本において様々な商品、役務に「ROTARY」商標を使用してきた。
申立人の同商標は、日本において周知の商標であり、本件商標の商標権者がこれを「結婚に関するカウンセリング及び指導」等に使用することは、需要者の混同を招き、申立人の業務上の信用にただ乗りすることになる。よって、本件登録の取り消しを求める。
イ なお、申立人は、「ROTARY」「ロータリー」等の保有する登録商標を自己が一括して管理している。宣誓供述書で述べているように、商標のライセンスを許諾して日本国内の業者にロータリーグッズを製造販売することを認めることはあるが、地区のクラブや会員が自己の商業上の目的で申立人の商標を使用すること、他の文字や図形と組み合わせて使用することは一切認めておらず、仮に本件商標の商標権者が実際にロータリークラブの会員であったとしても、「ROTARY」を他の文字や図形と組み合わせて使用すること、ましてや商標登録する行為は会員規則に違反するものであり、申立人が承認することは一切ない。
(2)甲第7号証について
甲第7号証は、「ロータリーマリッジクラブ東京」という商標権者に係ると推認される相談所のウェブサイトの記事である。
(3)甲第8号証について
甲第8号証は、日本結婚相談所連盟という団体のウェブサイト内の記事であり、上記「ロータリーマリッジクラブ東京」が本件商標と共に紹介されている。
2 商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、別掲1のとおり図形部分と文字部分とから構成されており、その文字部分は、「Rotary」の文字及びその指定役務との関係で識別力の弱い「Marriage」の文字により構成されている。
上記構成の本件商標は、「ロータリーマリッジクラブ東京」のウェブサイ卜において使用されている。同ウェブサイトには、「ロータリー・マリッジには、“ロータリークラブ”の独身者が多数在籍しております。」、「“ロータリークラブ”は、『会社経営者・企業エグゼクティブ・医師・弁護士・会計士等の国際奉仕団体で、112年の歴史と120万人の会員を持ち、日本には約10万人の会員がいます。』、『“中高年の経営者団体”として知られてきましたが、近年は30代・40代の働き盛りの会員が増え女性も次々と入会しています。』、『ロータリークラブ会員は、社会貢献の意欲を持ち社交的ですけれど、仕事に熱心で、恋愛のチャンスに恵まれない独身会員も少なくありません。』、このような方々が、当相談室で『人生のパートナー』を探していらっしゃいます。」などと記載されている(甲7)。
すなわち、そこでは、「ロータリー・マリッジには、“ロータリークラブ”の独身者が多数在籍しております。」との記載に続き、ロータリークラブが「会社経営者・企業エグゼクティブ・医師・弁護士・会計士等の国際奉仕団体」で、「112年の歴史」と「120万人の会員」を持ち、「日本には約10万人の会員」が在籍し、「近年は30代・40代の働き盛りの会員が増え」ており、「女性も次々と入会して」いることが述べられ、かつ、「ロータリークラブ会員は、社会貢献の意欲を持ち社交的ですけれど、仕事に熱心で、恋愛のチャンスに恵まれない独身会員も少なくありません。」と記載され、「このような方々が、当相談室で『人生のパートナー』を探していらっしゃいます。」と謳われている。
これは、本件商標の指定役務の需要者に対し、当該相談室が、歴史と社会的地位を有するロータリークラブ及びその会員と強い結びつきを有し、その役務の提供にあたり多数のロータリークラブ会員を紹介できることを強調し強く訴求するものである。
しかるに、申立人(及びそのメンバーである各ロータリークラブ)が、本件商標の商標権者及び「ロータリーマリッジクラブ東京」なる結婚相談室に対し、ロータリークラブを役務提供の宣伝広告に利用すること及び「Rotary」や「ロータリー」の文字を含む商標を使用することを承認した事実は一切存せず、また営業上も組織上も何ら関係がない。
にもかかわらず、かかる宣伝広告を行いロータリークラブを利用するばかりか、その役務の提供にあたり、識別標識として、「Rotary」の文字と、識別力の弱い「Marriage」とからなる「Rotary Marriage」の文字を主たる構成要素とする本件商標を使用することは、その役務提供が「Rotary」(国際ロータリー、ロータリークラブ)との関わりあることを需要者に強く示唆するものであり、需要者も、これらに関係ある結婚相談であることを想起する。かかる本件商標が、申立人及びそのメンバーであるロータリークラブにより、永年に亘り、世界的な活動を行うことによって獲得され、「Rotary」及び「ロータリー」に蓄積された名声、信用を不当に利用するものであることは明らかである。
一方、上記ウェブサイトには、「人生経験豊富で鋭い観察眼を持つ女性コンサルタントの相談室長は、ロータリークラブ会員歴20年、未婚化・晩婚化・少子高齢化対策に取り組んでおります。」と記載されている。
さらに、このウェブサイトには、商標権者の氏名は記載されていないものの、「“Rotary Marriage”は、ロータリーマリッジクラブ東京の登録商標です。」と記載され、登録商標である旨が強調されていると共に、同サイトが当該商標の商標権者の管理、運営によるものであることが示唆されている。
すなわち、本件商標の商標権者は、その登録査定時に、申立人である「ROTARY INTERNATIONAL」(国際ロータリー)、そのメンバーである単位(加盟)クラブ(ロータリークラブ)、その活動、及びそれらが長年使用し名声及び信用が蓄積された「Rotary」等の商標を認識していたこと、むしろ、商標権者ないしその関係者である「女性コンサルタントの相談室長」が「ロータリークラブ会員歴20年」であることからすれば、それらを熟知していたことが推認できる。
そして、申立人らと営業上、組織上何ら関係がなく、またその承諾も得ていないにもかかわらず、上記のようにロータリークラブ等との関係が殊更強調されて広告されていることからすれば、本件商標の商標権者は、申立人等の名声、信用を利用し、それに便乗する意図を有していたことは明らかである。
上記ウェブサイトには、末尾に、「“ロータリークラブ”・“国際ロータリー”とは、営業上・組織上関係ございません。」と小さく記載されている。かかる記載がなされていることは、むしろ、本件商標がロータリークラブや国際ロータリーと何らかの関係を有すると需要者が誤認するであろうことを、商標権者自身が認識していることを裏付けている。
なお、上記ウェブサイトのほかにも、当該相談室が加盟しているという日本結婚相談所連盟が運営するウェブサイトに「ロータリーマリッジクラブ東京」の紹介記事があり、「相談室長は、ロータリークラブ会員歴20年の晩婚化・少子化対策に取り組んでいるベテラン・コンサルタントですので、ご安心してお任せくださいませ。」、「『ロータリーマリッジクラブ』は、会社経営者や医師・弁護士等の団体“ロータリークラブ”の独身者が多数在籍する結婚相談室です。男性会員が多い相談室ですので、上質なご縁をお探しの女性会員を特に募集しております。」などの記載がなされているが(甲8)、この記事には同相談室がロータリークラブや国際ロータリーと関係ない旨の注意事項は記載されていない。
以上から、商標権者が本件商標を登録出願し、その登録を受けたことは、国際的な社会奉仕連合団体である「ROTARY INTERNATIONAL」(国際ロータリー)、そのメンバーであるロータリークラブ、及びそれらが長年使用する「Rotary」等の標章、商標、名称に蓄積された名声及び信用に便乗し、その指定役務についての使用の独占を図るものであって、不正の目的が認められることが明らかであり(甲9)、かつ、世界的に著名な団体である国際ロータリーの名声を一個人(一私人)たる商標権者が、同団体の承諾もなく商取引に使用することは、同団体の名声・信用・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、商取引の秩序を乱すものであって、我が国の国際的な信頼を損ない、ひいては国際信義に反する(甲10)。
以上の点は、商標権者がロータリークラブの会員であるかどうかにかかわらない(甲11)(なお、商標権者がロータリークラブの会員であることは現時点では確認されていない。)。
なお、上記のように「ロータリーマリッジクラブ東京」のウェブサイトにおいては「“Rotary Marriage”は、ロータリーマリッジクラブ東京の登録商標です。」と記載されているが、商標原簿の商標権者の名称とは異なるから、当該ウェブサイトには、事実に反した記載がなされている。
以上のとおり、本件商標は公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものであり、商標法第4条第1項第7号の規定に違反してなされたものであって、取り消されるべきことが明らかである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標の文字部分のうち「Marriage」の文字は指定役務との関係で識別力が弱く、「Rotary」の部分に強い識別力が認められ、引用商標「Rotary」と類似する。また、「他人の著名な商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものなどを含め、商品等の出所の混同を生ずるおそれがあるものと推認して取り扱う」ことからも(商標審査基準)、両商標の類似性は明らかである。
また、引用商標は上述のとおり周知度が高く、外国において著名であることから、我が国内の需要者によって広く認識されている事実が十分考慮されるべきである(商標審査基準)。
また、引用商標は造語ではないものの、ありふれたものでもなく、本件商標の指定役務において選択され易いものでもない。
さらに、引用商標はハウスマークである。また、申立人及びそのメンバー(ロータリークラブ)の活動は広く、個人の相談にかかる事業等も行われ、本件商標と引用商標の役務間には関連性も認められる。
加えて、本件商標と引用商標の役務の需要者は、前掲「ロータリーマリッジクラブ東京」のウェブサイト(甲7)においてロータリークラブの会員が強調されて広告されていることからも、共通することが明らかである。
したがって、本件商標の指定役務に接する需要者は、申立人の業務に係る役務であると認識するか、あるいは、たとえそのように認識しなくても申立人の関連組織の業務に係る役務であると誤認することが明らかであり、役務の出所について混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
よって、本件商標が本件指定役務に使用された場合、その役務の需要者が申立人の業務に係る役務と出所について混同するおそれがある。したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
4 商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、上述のとおり周知度が高く、「他人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標」にあたる。
上述のとおり、本件商標の文字部分のうち「Marriage」の文字は指定役務との関係で識別力が弱く、「Rotary」の部分に強い識別力が認められ、引用商標「Rotary」と類似する。また、「『需要者の間に広く認識されている』他人の商標と他の文字又は図形等と結合した商標は、その外観構成がまとまりよく一体に表されているもの又は観念上の繋がりがあるものを含め、その他人の商標と類似するものと判断する」ことからも(商標審査基準)、両商標の類似性は明らかである。
さらに、上述2のとおり、本件商標の商標権者は、申立人等の名声、信用を利用し、それに便乗する意図を有していたことが明らかであり、また、本件商標が使用された場合、引用商標に化体した信用、名声、顧客吸引力等を毀損させるおそれがあり、「不正の目的」が認められる。
したがって、本件商標は、需要者の間に広く認識されている引用商標と類似するものであって、不正の目的をもって使用をするものであり、商標法第4条第1項第19号の規定に違反してなされたものであるから取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 引用商標の周知著名性について
(1)申立人の主張及び提出された甲第2号証並びに当審における職権による調査によれば、以下のとおりである。
申立人は、世界に34,000以上の加盟クラブ(ロータリークラブ)を有する社会奉仕活動や人道的活動に取り組む世界的な組織である。ロータリークラブは、1905年2月23日に米国のシカゴで設立され、1921年4月1日に日本で設立が許可され、現在、我が国には2,264のロータリークラブに約89,500人の日本人会員を有し、人道的支援の提供、世界の親善と平和の構築のために、世界を結ぶ約120万人の事業及び専門職務のリーダーで構成されている。
申立人の所有する「ROTARY」に係る商標は、申立人が提供する親善、平和、人道的サービスと関連し、それ自体で組織全体を表し、組織の理想や主義とともに使用されている。
申立人は、我が国において、社会貢献、人材交流及びそれらの相談や情報提供等に「ROTARY」の商標を使用している。
我が国のロータリー会員は、申立人の信託機関であるロータリー財団に、2012?2017年には7,763万米ドル以上、2016?2017単年では1,633万米ドル以上を拠出している。ロータリー財団の最も古く認知度の高いプログラムは国際親善奨学金であり、我が国の学生を含む100以上の国を出身とする男女に30,000以上の奨学金を提供してきた。
また、ロータリー財団は国際理解と平和を目指す活動に資金を提供しており、1985年にポリオ撲滅運動を開始し、当初の募金目標額は1億2,000万米ドルであった。2007年からは、ビル&メリンダ・ゲイツ財団やWHOと協力して5億米ドル以上を集めている。
(2)以上によれば、引用商標は、申立人によって、我が国において、社会貢献、人材交流及びそれらの相談や情報提供等に使用され、申立人の業務に係る「慈善のための募金」を表示するものとして、当該役務を提供する業界においては、一定程度知られているものと認めることができる。
しかしながら、引用商標が使用されている役務は、「慈善のための募金」であり、その役務の対象は限られた範囲にとどまるものであること及び「ROTARY」の文字(語)が「回転する、環状交差点」などの意味を有する英語の成語であることを考慮すれば、引用商標は、我が国において申立人の業務に係る「慈善のための募金」を表すものとして一定程度知られているものの、広く一般の需要者の間にまで申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして認識されているものとはいえない。
そうすると、引用商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に我が国において、申立人の業務に係る役務の商標として需要者間に広く認識されているものということはできない。
2 本件商標と引用商標との類似性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、黄色く着色した欧文字「R」を中央に配する青色のハート型図形の右側に「Rotary」の欧文字と「Marriage」の欧文字とをわずかな間隔を設けて青色で横書きしてなるものである。
そして、本件商標の構成中の「Rotary」の文字は、「回転する」の意味を有する英語の成語であり、また、「Marriage」の文字は、「結婚」の意味を有する英語の成語であるところ、その指定役務との関係において該文字は、決して強い識別力を果たす語とはいい難いものであるが、本件商標の構成中の文字部分は、外観上まとまりよく一体的に表現されていることから、その構成中の「Rotary」の文字部分に限定し、当該文字部分に相応した称呼や観念をもって取引に資されるものであるということはできない。
そうすると、本件商標の構成中の文字部分は、全体として、特定の観念を生じさせない一連の造語として看取されるというのが相当であり、これより生ずる「ロータリーマリッジ」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものであって、他に、構成中の「Rotary」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の事情は見いだせない。
してみれば、本件商標は、その構成文字全体に相応して、「ロータリーマリッジ」の称呼のみを生じ、かつ、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標
引用商標は、「ROTARY」の欧文字を横書きしてなるもの、又は、「ROTARY」の欧文字を標準文字で表してなるものであり、該文字は、「回転する」の意味を有する語であるから、これよりは、「ロータリー」の称呼及び「回転する」の観念を生じるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否
本件商標と引用商標とは、その構成に照らし、外観において明らかに相違するものであり、また、本件商標から生じる「ロータリーマリッジ」の称呼と引用商標から生じる「ロータリー」の称呼とは、「マリッジ」の音の有無という明確な差異を有し、その音構成及び構成音数において明らかに異なるものであるから、それぞれを一連に称呼するときは、互いに聴き誤るおそれはない。さらに、本件商標の構成全体は、特定の観念を生じないものであるのに対し、引用商標は、「回転する」の観念を生じるものであるから、観念においても相紛れるおそれはない。
したがって、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても、相紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
3 商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、商標権者が本件商標を登録出願し、その登録を受けたことは、国際的な社会奉仕連合団体である国際ロータリー、そのメンバーであるロータリークラブ及びそれらが長年使用する「Rotary」等の標章、商標、名称に蓄積された名声及び信用に便乗し、その指定役務についての使用の独占を図るものであって、不正の目的が認められることが明らかであり、かつ、世界的に著名な団体である国際ロータリーの名声を一個人たる商標権者が、同団体の承諾もなく商取引に使用することは、同団体の名声・信用・名誉を傷つけるおそれがあるばかりでなく、商取引の秩序を乱すものであって、我が国の国際的な信頼を損ない、ひいては国際信義に反する旨主張する。
しかしながら、引用商標は、上記1のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、我が国において申立人の業務に係る「慈善のための募金」を表すものとして一定程度知られているものの、広く一般の需要者の間にまで申立人の業務に係る役務であることを表示するものとして認識されているものとはいえない。
そして、本件商標と引用商標とは、上記2のとおり、非類似の商標というべきであり、役務の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできないから、本件商標は、申立人ないし引用商標を連想、想起させるようなものではない。
なお、「ロータリーマリッジクラブ東京」のウェブサイトにおいて、当該ウェブサイトが申立人と関係するような記載があったとしても、これが商標権者の運営するウェブサイトであるか明らかとはいえないし、また、この事実のみにより、本件商標が申立人の引用商標に化体した業務の信用、名声、顧客吸引力にただ乗り(フリーライド)するものとはいえないものであり、他に不正の目的をもって本件商標を登録出願し、使用するものであることを具体的に示す証拠は見当たらない。
その他、本件商標が公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがあるものというべき事情もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記1及び2によれば、引用商標は、本件商標の指定役務の需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、かつ、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定役務について使用しても、これに接する需要者が、引用商標を想起又は連想するものとはいえないから、該役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれのある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
5 商標法第4条第1項第19号該当性について
上記1及び2によれば、引用商標は、本件商標の指定役務の需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、かつ、本件商標と引用商標とは、非類似の商標というべきものである。
そして、本件商標が引用商標の顧客吸引力にただ乗りする目的で使用するなど不正の目的をもって使用をするものであるとする証拠もない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
6 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。

 

引用元:http://shohyo.shinketsu.jp/originaltext/tm/1332408.htm

 

結婚紹介所や交際クラブでも『私のあしながおじさん』などパロディ系の名前多いですね

この交際クラブみたいに無難なのもいいですが、個人的にはパロディ系の方が面白くて覚えやすいのでいいですね

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